計画ではここが大事!全体計画の要所と図面のポイント
省エネ基準に則った建物を設計するにあたり、当初の計画は非常に重要です。開口部の位置をはじめとする建物自体の設計が容易に変えられないのはもちろんのこと、いったん計画を届け出てしまうと、設備の変更にも煩雑な手続きが必要になるからです。
では、省エネ法基準をみたした全体計画をたてるにあたり、重要なことは何なのでしょうか。また、図面に起こす際に気を付けるべきポイントはあるのでしょうか
1.全体計画の要所はこの3つ!
まず、全体計画の要所についてご説明していきます。重要な点として、大きく分けて3つ挙げられます。
①通風に気を付ける
通風を良くすることで、冷房で使用する電力消費を抑制することができます。原則として開口部が2方向以上にあり、かつ入口と出口があるかをチェックしましょう。通風の有無については「LDK」または「その他居室」ごとに判断されるため、部屋ごとの通風を確認する必要があります。ここで開口部の広さにこだわるあまり、家の中が丸見えになってしまっていることがあります。開口部の広さを保ちつつ、外からの視線を遮りたい場合には、欄間や開口付き扉を使用すると良いでしょう。採光や通風も確保できますし、デザイン性にもすぐれているためおすすめです。 ※ただし、冷房方式に「ダクト式セントラル空調を用いて、住宅全体を冷房する」場合には、全館連続冷房となり通風利用を想定していませんので評価対象外となりますのでご注意ください。
②外皮性能は断熱に注意
住宅の断熱性能は、断熱材と工法で決まるといっても過言ではありません。省エネ基準を充たすためには、外皮平均熱貫流率が一定より小さくならなければいけないので、断熱材選び、断熱方法の決定は特に重要です。外張り断熱工法だと構造材躯体が長く持つ一方、厚い断熱材は使用できない、充填断熱工法はコストが低く抑えられ厚い断熱材を使用できるが、気密性に欠ける、など工法と断熱材の組み合わせには様々あります。メリット、デメリットを考えた上で適切なものを選びましょう。
③一次エネルギー消費量についてはあらかじめ考えておく
冷房や節水器具、太陽光発電などの設備については、設計段階で後回しにされがちです。
しかし、省エネ法では一次エネルギー消費量が基準値を充たすことを求められており、設備全体のコストを把握しておく必要があります。
また、後から設置することが難しい設備もあります。例えば、エコキュートやエコジョーズを設置する場合にはドレン管工事が必要であったり、広い設置スペースが必要です。あらかじめ何をつけるのかしっかり考えておくべきでしょう。
2.図面を描くときのポイント
省エネ法基準に則った家を建築する場合、通常と異なり図面に描いておくべきことがあります。これは、役所に提出する際に必要だったり、計算をしたりするときに必要になるからです。そこで、図面に何を描きいれるべきか、NG例とともにご紹介していきましょう。
①外皮、設備仕様について
×外皮、設備仕様入力シートのみに内容が記載してある
○断面図や各階平面図への記載が必要
省エネ基準をみたすかどうかは、室ごとに判断されるものも多いです。そこで、外皮や設備の内容については図面へも記載し、自分の計算や役所での審査がスムーズにできるようにしましょう。気を付けるべきものとして、用途、階高、天井高、空調、換気、給湯などの記載を忘れないようにしましょう。
ちなみに、空調、換気等器具については器具表にて品番が書いてあれば充分です。それぞれどんな省エネ対策であるかは基本的には省エネ計算会社にて調べることが可能です。詳細の記載がある場合、その記載内容が他の図面と食い違う場合は判断が難しくなりますので、省エネ対策の記載は必要がないことが多いです。
②空調、換気について
×機器リストには、設備の種類だけを記入する
○空調や換気の省エネ対策を文章にしておく
一次エネルギーの算定にあたっては、室ごとに計算を行います。図面に設備を書き入れることはもちろん有効なのですが、平面からでは対象となる室がどこなのかわからないこともあります。そこで、図面に空調や換気を記入する際には対象室についても明示しましょう。また、制御の内容や対象となる機器を機器表に記載することで、計算作業がスピーディーに行えます。
③調光について
×調光の制御内容のみを記載
○調光のスケジュールを書いておく
調光についても、従来以上に詳しく記入しておきましょう。具体的には、調光スケジュールについてかきいれておくことをおすすめします。これにより、申請時にチェックがしやすくなり、場合によっては自動制御図を提出せずに済むこともあります。
3.図面記載のポイント
①仕上表と矩計図で内容が違う場合、どちらが正解なのか第三者ではわからなくなってしまうため、仕上げ表と矩計図だけでも整合はとりましょう。
②矩計図では断熱材が主にチェックされますので、屋根、外壁、床下、基礎断熱、熱橋部の断熱範囲は明確に記載しておきましょう。
③断熱材の名称は正確に書きましょう。省エネ対策では何と言っても断熱材が肝心です。たとえば、グラスウール50mm だけではどのグラスウールなのかが判断できません。矩計図や平面詳細図では紙面の関係上それでも構いませんが、仕上表では「高性能グラスウール24Kg 50mm」のように正確に書きましょう。
④空調機、換気設備、給湯器、照明器具などの設備器具については品番を記載しましょう。
省エネ基準を充たすためには考えるべきことや計算すべきことがたくさんあります。しかし全体計画の要所を抑え、図面のポイントを守るというひと手間で、計算や申請がとても楽になります。省エネ住宅を設計する際には、ぜひ実践してみてください。
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