役所からの指摘や質疑が多いポイント
省エネ法が施行され、建築をする際には省エネ措置の届け出を行う必要が出てきました。しかし法律が複雑であることから、届け出についてわからないところも多いと思います。
そこで今回は、役所からの指摘や質疑が多い点についてまとめてみました。
1.質疑が多い点はココ
(1)届け出について
まず、届け出そのものについて質疑が多い点をご紹介します。
Q届出は誰がするのでしょうか?
A新築や増改築については建築主が届け出を行うことになっています。改修の場合は建築主が届け出ます。
Q届出の期間は決まっていますか?
A届け出については、着工の21日前ならいつでも可能です。期限を過ぎてしまった場合には、可及的速やかに届け出を出しましょう。届け出ない場合には50万円以下の罰金の対象になります。
Q省エネ法に適合していない場合、建物の建築に支障があるのでしょうか?
Aそもそも省エネ法と建築基準法は別の法律になります。そのため、省エネ法に適合しなくとも、建築基準法を満たしていれば確認申請は下ります。したがって、建物の建築自体には支障がないといえましょう。もっとも、省エネ基準を著しく満たしていない場合は、改善命令がなされることがあります。
Q申請を行いましたが、いつから着工することができるのでしょうか。
A現状は、省エネ計算書の届出を行い確認がおりれば着工が可能です。来年4月以降は非住宅2,000㎡を超える建物については、建築確認申請とともに省エネ適合判定申請を提出することになります。この場合、まず適合判定通知書が所管行政庁から申請者に交付されます。そして、申請者は届いた適合判定通知書を建築主事又は指定確認検査機関に提出します。建築確認も通れば、確認済証が交付されます。建築基準法の確認済証が交付されて初めて建築を着工することができように法改正が予定されています。
Q仮設の建築物も届け出を要するのでしょうか?
A工事を施工するために現場に設けるプレハブなどの仮設建物の場合、省エネ法に基づく届け出は必要ありません(エネルギーの使用の合理化に関する法律施行令第20条参照)。
(2)計画の変更について
届け出後に設備を変更した場合、届け出が必要になるのは以下の場合です。
低炭素認定制度と異なり、軽微な変更の場合にも届け出が必要となりますので注意してください。
なお、変更の届け出を行う際には「変更届出書」という書式が用意されています。期限等はなく、随時提出できますが、事前に相談が必要としている自治体が多いです。
(3)計算について
外皮基準の計算や一次エネルギー消費量の計算には、便利なツールが多数でています。しかし、「○○はそもそも対象になるの?」「計算ツールに項目がない」といった疑問は尽きません。そこで代表的な質疑をいくつかピックアップしました。
Q伝統的な木造住宅の場合は、通常の建物とは計算方法が異なりますか?
A伝統的な木造住宅では、構造上断熱可能スペースをとることができないことが多いです。そのため、通常の建物と同じ計算方法を採ったのでは、外皮性能基準をみたさなくなってしまいます。 そこで「気候風土適応住宅認定ガイドライン」に基づいて所管行政庁が地域の気候及び風土に応じた住まいづくりの観点から適切だと感じ得た場合には、外皮基準が適用除外とされます。また、一次エネルギー消費基準についても、基準を緩める措置をとっています。
Q太陽光発電の発電量は一次エネルギーの計算においてどのように扱われますか?
Aなお、太陽光発電のうち、自分の家で使う量については一次エネルギー消費量から差し引くことができます。売電をする場合には差し引くことができません。
2.役所からの指摘が多いところ
せっかく提出した届け出が、申請不備で戻ってきてしまうのは避けたいですよね。そこで、申請に際して役所から指摘が多い部分をご紹介します。
①届出部数の不足
提出書類(届出書、根拠を示す図書)は、すべて正副2部必要になります。忘れずに副本も持っていきましょう。
➁計算ミスの指摘
省エネ法は複雑な計算を必要とするため、計算ミスが原因で再提出になってしまうことも多いです。役所では平成25年度基準・28年度基準で計算していますので、これを使って計算しなおしましょう。また、万が一返却されてしまった場合には、自分だけだと間違いに気づきにくいため、どこが間違っているのかを担当者に確認しましょう。
③用途が複数ある場合、届け出方法が異なることに注意
住宅以外の用途に供する部分の床面積が300㎡未満の場合は、住宅以外の用途を住宅とみなします。この場合には、届出書(第一号様式)の第一~三面を提出する必要があります。一方、住宅以外の用途に供する部分の床面積が300㎡以上の場合には、第一、二面は、まとめて記載し、第三面は用途ごとに記載する必要があります。
計算ツールや計算ソフトにより届出書の作成は、多少、楽になりましたが、まだまだ省エネ計算の経験がない方には非常に解釈が難しく非常に難解な部分も多々あります。そもそも何の書類を出すのか、何を評価項目にいれるのかは自分で考えなければならないところです。役所からの指摘や質疑が多いポイントをしっかり解釈して計算書の作成をする必要があります。
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